DOORS(’67) / DOORS 
俺にとってDOORSは特別なグループであり、一番好きなグループでもある。
従って彼らのアルバムはすべてお気に入りで、嫌いな曲すらひとつも無い。これはデビューアルバムだが、最初に聴いたのはシングルバージョンの LIGHT MY FIRE (ハートに火をつけて)である。その後アルバムを手に入れ、オリジナルバージョンのテイクを聴いて完璧ノックアウト。あの時の衝撃は今でも覚えているし、これまでにあれ程のショックを受けたことがない。怪しげで幻想的なオルガンソロ、途中から入ってくるサイケデリックなギタープレイ、クールな JIM MORRISON のヴォーカルが後半に差し掛かるにつれ、ケモノ化して昇り詰めていく・・・
THE END も BREAK ON THROUGH もいい。中でも一番好きなのが THE CRYSTAL SHIP。これは震えがくるほど美しい。俺が一番愛している曲である。
THE BEST OF MUDDY WATERS / MUDDY WATERS
1曲目の I JUST WANT TO MAKE LOVE TO YOU に始まり、I CAN'T BE SATISFIED 迄、全12曲ゾクゾクするような名曲ばかり。
音が出た瞬間に身体へ電流が走り、聴き終わっても只々溜息の渦の中。この気持ちはアルバムを聴いた30年も前から未だに色褪せていない。特に ROLLIN' STONE には言葉では表せない程の衝撃を受けた。毎日毎日朝から晩までレコード盤が擦り切れてしまうくらい聴き込んで、この曲をコピーしたものだ。耳からだけでなく毛穴、鼻の穴、穴という穴からすべてを吸収しようとしたものだ。
このアルバムは間違いなくロックの原点・源流だと思う。本気でロックを唄いたい人には必聴の価値あり。
THE VERY BEST OF CONNIE FRANCIS CONNIE'S 21 BIGGEST HITS! / CONNIE FRANCIS
女性ヴォーカルには興味がないけれど、この人の曲には思い出がたくさん詰まっていて未だによく聴いている。
ルックスは悪いけど元々カントリーシンガーで唄は上手いし、アップテンポのものからスローナンバー迄見事にこなしている。CONNIE の唄を初めて聴いたのは小学5年生の頃。東京から転校してきた女の子の家に遊びに行った時の事。彼女は東京育ちと云うこともあってか、とてもお洒落でおませで、キラキラ輝いていた。俺の初恋の人でもあったんだ。
LIPSTICK ON YOUR COLLAR, I'M GONNA BE WARM THIS WINTER, VACATION, WHERE THE BOYS ARE(ボーイハント)等を聴くとあの日のことがはっきりとよみがえってくる。たしか内野さんと云う人だったけど、今は何しているのかな・・・。
「想い出の冬休み」、サックスの間奏の終わりに、ウゥーっ!とフェイクしながら唄に入ってくるところは絶品というか見事です。
ALIVE(’72) / SLADE 
TEN YEARS AFTER のオリジナル、HERE ME CALLING で幕を明けるこのライヴアルバム。俺が知っているライヴアルバムの中でも群を抜いて素晴らしいと確信する。
知名度を手に入れたグループだが、元々はトラッドなイメージを持ったグループだったらしい。リズム、サウンド共に骨太で男っぽく良くのびる高音はか細くなく、ロックを唄う為に生まれてきたような声をしている。加えて LOVIN' SPOONFUL の DARLING BE HOME SOON のハード仕立てのアレンジが強烈。オリジナルのフォークタッチでどこか映画音楽風なイメージを壊しつつ、オリジナルの良さをちゃんと生かした料理は見事。
ちょっとやかましいけど、ノリノリの雰囲気が汗のように臭ってくる。
THE MANY SIDES OF FRED NEIL / FRED NEIL
名前は知っていたし、どこかで一度か二度は耳にしていたのかも知れないが、数年前友人ドクター・I 氏の家に遊びに行った際にさりげなく聴かされた。その時は声の良さを見せびらかせているようなイメージがあったが、その後ドクターI氏が我が家にこのCDを置き忘れていったのがキッカケで何度か聴いているうちに、何となくハマってしまった。ちょっとクセがあるので聴く人を選ぶかもしれないが、気に入るととことんハマるかも知れない。元々カントリー、フォークシンガーらしいけど、日本ではこの手の歌手には絶対お目にかかれないだろう。ソフトで骨太、こういうのを男前の声というのだろうね。
享年64才、早すぎる死が本当に残念だ。
STAND UP('73) / JETHRO TULL
ホワイトブルースの波に乗って(?)イギリスから登場してきたバンド。デビューアルバム「THIS WAS」を聴いたときはかなりのショックだった。そしてこのセカンドアルバムを聴いて完璧にトドメを刺された感じだった。俺が好きだった GUITAR の MICK ABRAHAMS が「THIS WAS」を発表してすぐ脱退してしまったのが個人的には悔やまれる。後釜のMARTIN LANCELOT BARRE もそれ程引けを取ってはいないが・・・。ブルースバンドとは云ってもジャズ、クラシック、ブリティッシュトラディショナルetc、さまざまなジャンルの音楽がJETHRO TULLの手で見事に料理され、彼らにしかなし得ない独特のサウンドを生み出している。
KEITH や SONHOUSE 時代にカヴァーしたが、どうしてもフルートが入った不思議なサウンドには近づけない。彼らのアルバムはほとんど持っているが、どのアルバムも気に入っている。アメリカのメタルバンド、METALLICA も彼らの影響が大きいと思う。
ところで収録曲、「WE USED TO KNOW」は EAGLES の「HOTEL CALIFORNIA」に非常に似ているが、もちろん JETHRO TULL が先です。
THE BEST OF ERIC BURDON AND THE ANIMALS 1966-1968
彼らのアルバムを聴くたびに、どうしたらこのようなサウンドが作り出せるのだろうと、昔も今も溜息が出てしまう。
ERIC BURDON の VOCAL は特級品!メロディラインから、こぶし、シャウト、フェイク、どれを摂ってもパーフェクト。あまり欠点が無さ過ぎると面白味が無くなったり、飽きがきたりするはずだが、聴けば聴くほどに味が出て、彼の世界に引き込まれていく。ナイーヴな面とワイルドな面がさり気なくコントロールされていて、ロックを歌うために世に生まれ落ちて来たような人だ。ある意味では、MUDDY WATERS や JOHN LEE HOOKER よりも好きなヴォーカリストかも知れない。随分学ばせてもらったし、影響も受けた。
初期の「朝日のない街」、「IT'S MY LIFE」、「I'M CRYING」、「SEE SEE RIDER」あたりのブルースやR&Bスタイルのものから、サイケデリックの洗礼を受け社会派(?)に変身した時期の「SKY PILOT」、「WHITE HOUSE」、「SAN FRANCISCAN NIGHTS」、どれ一つとっても鳥肌物だ。ちょっとアクが強いので聴く人を選ぶかも知れないが、1枚は持っていても損はしない。初期から後期まで振り分けられているベスト盤がお勧め。これだけの存在感で歌心のあるヴォーカリストはそう滅多にお目にかかれませんよ。
10数年前に来日した際、九段会館でのショウで、運良く ERIC BURDON に会うことが出来た。握手をしてもらい、Tシャツにサインを貰った。今でも袖を通すことなく、大切に持っている。小柄で160cmそこそこなんだけど、胸板が厚くてどこか少年の面影を残していた。そして変わらずの、もの凄いヴォーカルを聴かせてくれた。


菊の華