ジャズロック
キースというバンドを始め、ただひたすら明けても暮れてもイギリスやアメリカの音楽をコピーしていた。
ドーナツ盤が擦り切れてB面の曲が聴こえてくるんじゃないかという程何度も聴き続けメロディだけではなく、その中の息づかいや、ミュージシャンの癖までも盗んだ。

バンド活動は楽しくて仕方がなかったが、ギターの笠原が大学を卒業すると同時にバンドを辞めることになり、キースは解散した。

俺はロックに興味を無くしてしまった。

相棒がいなくなったということと、のめり込めるバンドやミュージシャンにそれ以後巡り会えなかったということが重なり急速にロックから離れていった。

丁度その頃、ロックミュージシャンがジャズやクラシックを取り入れたように、ジャズミュージシャンがロックを取り入れたジャズロックなるものが出始め、興味を持った。

ロックからジャズロックと、レコードを漁り始め、家の近くだったジャズ喫茶コンボに一日中入り浸るようになる。

何よりのきっかけとなったのは、マイルス・デイヴィスの「IN A SILENT WAY」。

今まで俺が接してきたロックやジャズでは味わえなかった神秘的な宇宙、滑るような不思議なサウンド、若いドラマー、トニー・ウィリアムスの美しいスティック捌き、ドラミングに非常に感動し、寝ても醒めてもこればかり。

バンドを辞めて何もやる事が無く、大学にも行かず、朝から晩までジャズロック、コンボに通い詰める毎日だった。

ここに紹介するアルバムはその頃よく聴いていた俺のお気に入りのレコード達です。

 


菊の華